『ワーク・シフト』読んだ。
ちょっと前にネットで話題になった『ワーク・シフト』を読んでみた。
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
- 作者: リンダ・グラットン,池村千秋
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2012/07/28
- メディア: ハードカバー
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ちきりんさんがネットで話題にしてSocial Book Readingとして課題図書に指定したことが大きかったとのことですが、
おもしろかった。
自分の中では、「いろんなひとをいろんなところで(主に仕事で)見てるけど、今後、みんなどうやってはたらくんだろうな...」とかって、
よく頭の中で考えていたことを、うまいこと文章にしているような感じの本で、
斬新なテーマと切り口ではないものの、いろんな研究と考察にもとづいて書かれた本とのことだけあり、
共感できるところが多かった。
2025年という、わりと近い未来に、自分たちはどんなことをしてるのかって話をもとに、これからのはたらき方とか生き方を
考えることができたおもしろい本でした。
それこそ「こんなの信じられない!」なんて感じるものは一つもなくって、
読むことでいろいろ整理された感じがしました。
結局、みんな自分が考えてることと同じようなことを、どこかでだれかに言ってもらいたいのかな、なんても思ったけど。
とくに気になったというか、おもしろいなあと思ったところがふたつあって、
ひとつが、今後のぼくらのはたらき方が、「単線型」ではなくて、小休止をはさみながら小刻みに、様々な方向に進んでは休み、進んでは
休み、を繰り返しながらはたらく
「カリヨン・ツリー型」のキャリアになっていくだろうってところ。
これは、すでにそうなりつつあるとすごく感じているし、もちろん全ての人がそうなるわけではないけども、
とても納得感があった。
本の中では、ひとりの例として、大学を卒業して就職し専門スキルを高め、30歳くらいで仕事をやめて、1年くらい旅行したりボランティアしたりして、仕事に復帰し、これまでと別のプロジェクトに携わり、また40くらいで仕事をはなれて学校に入学して、また新しい分野の専門性をつけて、しばらくしてまた辞めて...
といった例が紹介されている。
ぼくの住んでたデンマークという国ではこれがかなり実現できているように感じた。
小休止とまではいかないものの、「フレクシキュリティ」という、デンマークやオランダのモデルが最近有名なように、
仕事を転々としていくことでキャリアを積んでいく、手厚い福祉に支えられ、積極的に会社が人をクビにして、
人の流れを柔軟にすることで雇用と成長を守るというやつです。
実際、あの人たちと話してたりすると感じる、彼らの、あの仕事がクビになっても全く焦らなくて、
「ふう、さて、次はなにをしようか」といった、あの余裕のある感じ、
あんな感覚がどこかで養われたからできるんだろうなあ、って思う。
もちろん、手厚い福祉で有名なように、失業手当の充実だとか、そういった社会保障システムによっても実現しているんだろうけど、
マインドの部分ってすごく大事なんだと思う。
何がいいたいのかというと、これってぼくが実現したいフォルケホイスコーレのコンセプトそのものだということです。
きっと、これって日本の中だけで見ても、万人ができるようになることでは、もしかしたらないのかもしれないと思うけど、
ぼくが住んだ「フォルケホイスコーレ」は、生涯学習できる環境でありながら、自分の人生における「単線」を、「複線」に、
これまでの単線から降りて、すこし休憩をして、また違うラインに乗り出して、ってことを実現する
いわゆる「カリヨン・ツリー型」の生き方を実現できるような、まさにそんな場所だったし、そんな場所だと思っていて、
ぼくが強くその必要性を感じていたのも、まさにここだったんです。
もうひとつは、「自己再生のコミュニティ」として、顔の見える、信頼関係のおける、密なつながりのある小さなコミュニティとして、
「ポッセ」なるものがひつようだ、とかって書いているところ。
本にはなんだか専門的なこと書いているようだけど、要するに現在、そしてこれから、いろんな人と広くゆるく、それこそ地球の裏側の人とだって簡単につながれるようになったからこそ、
逆に隣近所に住んでる人というか、お互のやっていることををよくわかっていて、頼りにできる関係性をつくるのがだいじだって話だとぼくは思ったのですが、
これも、まあ考えればよくわかることで、
とくに、いろんな事情から在宅勤務が多くなったり、地球の裏側の人と一緒に仕事することが多くなったりしたら、
その一点だけでゆるくつながってたり、そもそも顔を会わせることなく関係性がつくられたりってことが、
もっともっと増えていくんだろうなって思う。
便利だし合理的だしいろいろ生産性は高いんだろうけど、それだけだとやっぱり人間は飽きると思うし、
ぼくも今すんでますけど、若者のシェアハウスがすごく流行していたりっていうのも、こういう流れに敏感な若者たちが反応して、
日本の中ではさっそく「つながりをつくり出せる住み方をする」という形で動きだした、ってとこなんだと思う。
この話も、まさにぼくが体験した学びの中で実現したことでした。
こういう、人と人との密なつながりを実現できる場所としても、ホイスコーレはとってもおもしろい場所だったなあと思っていて、
ぼくが今構想しているホイスコーレは、やっぱりそうやっていろんな人が集まり、関係性がつくれる環境にしたいと思ってます。
ひとりの人として生活を送る中できづく。ささいなことなんだけど、やっぱりなんか気づきがある。
っていうか、掃除とか朝のあいさつとかそういう些細なことの方が、かえって印象的だったり、
そういうことから気づけることがたくさんある。深く心に残ったりする。
別にすごい仕事したとかプレゼンがうまいとか、かっこいいビジネスとかじゃなくてね。
ああいう環境で共同生活って、やっぱり大変なことも多かったような気がしたけど、
でも終わってみれば、それこそ「ポッセ」が、できるんだなって思う。
そんな場所、やっぱりつくりたいなーって思いますのです。
なあんて。
明日はたのしみだなあ。